就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

 やがてシャトルはボシュッ! という音を立てて濃い気体の層に突入した。気体はほぼ透明だったが、下の方を見ると青黒くどこまでも続く底なしの様相が見て取れた。本当に、こんな所にコンピューターなんてあるのだろうか?
 俺の不安など無関係に、シャトルはその青黒い方へどんどんと潜っていく。
 そのうち、真っ暗となり、ヘッドライトは雪が舞い散るような風景を照らしだしていた。
「そろそろ着くわよ」
 ミネルバがそう言って、スマホで魔王と手順の確認をしている。

 やがて見えてきた巨大な黒い構造物……デカい。それは新宿の街がすっぽり入るくらいのサイズの巨大な直方体だった。そして、その直方体がまるで貨物列車のように次々と連なっていた。
「これがジグラート、これ一つで地球一つよ」
 ミネルバが説明してくれる。
「あなたの日本がある地球は……、あれね」
 やがて近づいてきたジグラート。継ぎ目があちこちにあり、その継ぎ目からは白い明かりがほのかに漏れている。ここにはスパコン富岳の一兆個に相当するコンピューターが収められている。
 直径一万二千キロの巨大な青い惑星、地球。多くの生き物と八十億人の人が暮らすその星の実体がこの一キロメートルくらいの黒い箱だったなんて誰が信じるだろうか? 実際に目にしてもまだピンとこないのだ。
 俺はこの中で生まれ、この中で育ってきた……。頭では理解できるものの、どうも実感がわかない。それに、ジグラートは次々と連なっていて数えきれないほどある。一体何個の地球があるのだろう? 俺は圧倒され言葉を失っていた。

 そして、シャトルは減速をはじめ、ジグラートの一つに近づいて行った。











3-17. 猫女猫女猫女! 

 同時刻、王都の大聖堂の塔にあるマリアンの執務室に動きがあった――――。

 コンコンコン!
 ドアがせわしなくノックされ、
「マリアン様、大変です!」
 しゃがれた男性の声がする。
 デスクで報告書をチェックしていたマリアンは、
「どうぞ」
 と言って、不機嫌に顔を上げた。
「ミネルバが海王星に居ます! どうやらうちの星のサーバーへ行くようです!」
「えっ!? あの猫女、生きてたの? それにサーバーって……。まさかバレたの?」
「た、多分そうではないかと……」
 初老の男は言いにくそうに答えた。
「くっ……!」