就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

 直後、箱根は激しい閃光に覆われ、真っ白い繭のような衝撃波が箱根全体に大きく広がった。それはまさに地獄絵図であった。全ての樹木はなぎ倒され、芦ノ湖の水は吹き飛ばされ、全てが温泉地獄の大涌谷(おおわくだに)のような焦土と化した。そして、中から真紅のキノコ雲がモクモクと吹きあがっていく。
「はっはっは! これで世界は私の物だわ! 六十一号! あなたも手伝うのよ、分かったわね?」
「ソ、ソ、ソ、ソータ様……、あぁ! ソータ様ぁ! いやぁぁぁ!」
 錯乱し、泣き叫ぶエステル。
「うるさいわね! 記憶を消してあげるわ。あんな男、六十一号には要らないわ」
 そう言って、マリアンは逃げようともがくエステルの額に手を当てた……。
「やめてぇぇぇ!」
 悲痛な叫びが、巨大クレーターのはるか上空で響いた。










3-15. 疑惑の海王星

 俺は自宅で、鏡から飛び出してくる魔王を補助し、うまく着地させた。
 続いて飛び出してきたのは……、黒髪の女性!?
 褐色のオリエンタルな美人で、オレンジ色の瞳をしている。
「うわぁ!」
 女性は叫び、俺は頑張って抱きかかえる。
 すると、ゆるい衣服から豊満な胸がこぼれそうになる。
「え!?」
 思わず目が点になる俺。
「キャ――――!」
 女性は両手で胸を隠すと、涙目で俺をキッとにらみ、パシーン! と、平手打ちした。

 その女性はミネルバだった。日本に来た時に変身の魔法が解け、猫から人間になってしまったのだった。猫の時は胸が無かったし、毛皮で覆われていたのでゆるい服を簡単に着ていただけだったのだ。

 俺は頬をさすりながら、Tシャツを出して後ろを向きながら彼女に渡した。
「思わず叩いちゃった……、ごめんなさいね」
 謝りながらシャツを着るミネルバ。
「いえいえ、私も見ちゃいましたし……」
「え!? 見たの?」
「だ、大丈夫です! 見えそうになっただけです!」
 俺は嘘でごまかした。

     ◇

 狭い部屋の中で小さな丸テーブルを広げ、作戦会議である。俺はコーヒーを入れてふるまった。
 一つの世界の頂点たるリーダーがこんな小さなワンルームで世界を救う議論をしているなんて、とても違和感があった。
 しかし、ミネルバを排除したマリアンは一気に計画を推し進めてくるだろうし、さらわれたエステルも心配だ。一刻を争う。