就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

 魔王は眉間(みけん)にしわを寄せる。
「もし、そうだとするならば……。いろいろ辻褄(つじつま)は合うわね……」
 ミネルバも渋い顔をする。猫でも表情は良く分かる。
 重い沈黙の時間が流れた。

「まぁ、ちょっと座って」
 ミネルバはそう言うと俺とエステルに椅子をすすめ、空中からマグカップのコーヒーを出すと俺たちの前に置いた。
 俺は荒れることを予想し、鏡を足元に横に立てかけてスタンバっておいた。

      ◇

 ピロパロポロン!
 電子音がして、ドアが現れた。
「どうぞー」
 ミネルバは可愛い猫の声で叫んだ。

 入ってきたのは豪華な純白の法衣に身を包んだ銀髪の女性だった。スッと鼻筋の通った色白の美しい女性は高貴な気品をたたえ、その目は鋭く朱色に輝き、ただ者ではない雰囲気を漂わせている。

 マリアンはにこやかに俺たちを見回して……、エステルを見つけると、
「あれ? 六十一号!? なぜあんたがここにいるのよ?」
 と、トゲのある声で言った。
 エステルは、椅子から降りてひざまずくと、
「だ、大聖女様、ご、ご機嫌麗しく……」
 と、震える声であいさつをする。
 どう見ても尋常じゃない。教会関係でつながりがあるのだろうが、番号で呼ぶとはただ事ではない。それに六十一とはエステルのうなじに彫られた数字ではないか。この二人はどういう関係だろうか?

 ミネルバはそれを見て、
「彼女は私が呼んだの。それより、これ、何なの?」
 と言って、写真を空中に投影し、マリアンをにらんだ。
 マリアンは写真を見て、一瞬驚愕の表情を浮かべると、エステルをにらみ、
「あんた! 裏切ったわね!」
 そう言ってひざまずいているエステルの頬をパン! と張った。









3-14. ネオエンジェル六十一号

「何するんですか!」
 俺はエステルを抱きかかえて後ろに下げ、マリアンをにらんだ。
「わ、私は何もしてないですぅ……」
 エステルはか細い声で言った。
 ミネルバは、
「暴力は止めなさい! あなたが魔物の侵攻をやってたのね。一体どういうこと?」
 と、マリアンに迫りながら問い詰める。
 マリアンも負けずにミネルバを冷たい目でにらみつけた。そして、

「ふっ、はっはっは! あーあ、バレちゃった。そうよ、私が魔物を使って街を襲ってたのよ」