就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

「あー、彼女はパートナーです! パーティー組んでるんです!」
 俺は冷や汗を流しながら説明する。先輩はどんな説明してるんだ? 非常に困る。
「あ、そうなんだ。ふむ」
 俺は単刀直入に言った。
「魔物の襲来なんですが、止めてもらうことはできますか?」
「あれね、私がやってるんじゃないんだよ」
 魔王は肩をすくめて困ったような顔をする。
「え? じゃ、誰が?」
「それが……、分からないんだ」
 魔王は額に手を当てる。











3-11. 海王星の衝撃

「でも、魔物たちは魔王様が作り出しているんですよね?」
「そう、ダンジョンを作って魔物を配置するのは私の仕事だよ。これにより人々に意欲を与え、社会に活気を醸成するのさ。ああやってるんだ」
 そう言って後ろの巨大なモニタ群を指さす。
 よく見ると、そこには多くのダンジョンデータといろんなステータスが並んでいた。
「魔物と宝箱を配置し、冒険者に魔石と宝を供給するのが僕の仕事。中には命を落とす冒険者も出てしまうが、魔物がダンジョンを抜け出して一般人を襲うようなことはしない。あくまでもフェアにやってきた」
「フェアでも死者や遺族からしたら納得できないと思いますが」
「うん、そうだね。恨んでもらうしかない。」
 そう言って魔王は肩をすくめて首を振る。そして、続けた。
「でも、登山家が雪山で命を落としたとして、山を作った神様の問題だというかな?」
「いや、そうですが、人を殺さない魔物も作れますよね?」
「昔はそうだったよ。でも、それは結局テーマパークにしかならなかった」
「真剣勝負でないと価値がない……ってことですか?」
「人間の本質がそこにあるということだよ、ソータ君」
 俺は悩んでしまった。確かに雪山に登らなければ遭難しないし、ダンジョンに潜らなければ魔物には殺されない。選択の結果ではある。しかし、惨殺死体をこの目で見てしまっていた俺は簡単には割り切れなかった。
 
「それより、魔物の群れなんだがね、あれは本当に私がやってるのではないんだ」
 魔王はお手上げのポーズをする。
 嘘をついているようにも見えないし、確かに俺たちに嘘をつくメリットも無いだろう。となると、あの魔物倉庫は何だったのか?

「ちょっとこれ見てください」
 俺はスマホを差し出し、魔物倉庫で撮った写真を何枚か見せる。
「えっ!? なにこれ!?」