俺は、ヘッドライトを消し、洞窟を暗闇にする。すると、明かりが漏れてくる切れ目がポツポツとあるのが分かる。
俺はそれらを一つずつ押し広げてチェックしていく。あるところはウユニ塩湖のような壮大な風景に繋がっていたし、別の所は広大な麦畑だった。さらに次々と押し広げて見ていくと衝撃の光景を見つけた。なんと、無数の魔物が整然と並んでいる巨大な倉庫に繋がったのだ。
「はぁ!?」
俺は思わず声が出てしまい、急いで口を押さえた。
3-6. 百万匹の魔物
切れ目は倉庫の上方に開いていて、全体の概要が良く見えた。
そっと様子をうかがうと、手前の所にはゴブリンらしき魔物が一メートルおきに整列していて、それが二百メートル四方くらいに及んでた。つまり、四万匹である。そして、ゴブリンたちは全員微動だにせず静止している。
隣の区画にはコボルト、その奥にはオーク、トレント……と並び、何キロも先の奥の方には巨大な魔物が並んでいるのが見える。ワイバーンより大きい物すらいそうだ。ドラゴンだろうか?
数はパッと見える範囲だけで百万匹に達しそうだった。ここは魔王の秘密倉庫? ここから街を襲撃する魔物たちを出しているのだろうか? 俺はどうしたらいいか混乱していた。
ガチャ! ギギギー!
下の方でドアの開く音がした。
俺はそっと切れ目を少し戻し、聞き耳を立てる。
「マリアン様、次の侵攻の準備はバッチリです」
しゃがれた男性の声が響く。
「ほう、いいじゃない……。あれ? ゴブリンはこんなに要らないって言わなかったっけ?」
若く張りのある女性の声だ。
「こ、これは失礼いたしました。半分に減らしておきます」
「しっかりしなさいよ! それじゃ、後は手はず通りに王都とバンドゥによろしく!」
「ははっ、かしこまりました」
「また一歩理想郷に近づくのね」
女性は感慨深そうに言う。
「楽しみでございます」
そう言って、二人ともしばらくうれしそうに笑い合っていた。
やがて出て行ったようで、ガチャン! と重厚なドアが閉められた。
きっと魔王の関係者だろう。ここに用意した魔物を王都とバンドゥに十万匹ずつ送り込むつもりらしい。俺は決定的な拠点を探し当てた興奮で心臓が高鳴り、思わずガッツポーズをした。スマホで証拠写真も撮っておく。
俺はそれらを一つずつ押し広げてチェックしていく。あるところはウユニ塩湖のような壮大な風景に繋がっていたし、別の所は広大な麦畑だった。さらに次々と押し広げて見ていくと衝撃の光景を見つけた。なんと、無数の魔物が整然と並んでいる巨大な倉庫に繋がったのだ。
「はぁ!?」
俺は思わず声が出てしまい、急いで口を押さえた。
3-6. 百万匹の魔物
切れ目は倉庫の上方に開いていて、全体の概要が良く見えた。
そっと様子をうかがうと、手前の所にはゴブリンらしき魔物が一メートルおきに整列していて、それが二百メートル四方くらいに及んでた。つまり、四万匹である。そして、ゴブリンたちは全員微動だにせず静止している。
隣の区画にはコボルト、その奥にはオーク、トレント……と並び、何キロも先の奥の方には巨大な魔物が並んでいるのが見える。ワイバーンより大きい物すらいそうだ。ドラゴンだろうか?
数はパッと見える範囲だけで百万匹に達しそうだった。ここは魔王の秘密倉庫? ここから街を襲撃する魔物たちを出しているのだろうか? 俺はどうしたらいいか混乱していた。
ガチャ! ギギギー!
下の方でドアの開く音がした。
俺はそっと切れ目を少し戻し、聞き耳を立てる。
「マリアン様、次の侵攻の準備はバッチリです」
しゃがれた男性の声が響く。
「ほう、いいじゃない……。あれ? ゴブリンはこんなに要らないって言わなかったっけ?」
若く張りのある女性の声だ。
「こ、これは失礼いたしました。半分に減らしておきます」
「しっかりしなさいよ! それじゃ、後は手はず通りに王都とバンドゥによろしく!」
「ははっ、かしこまりました」
「また一歩理想郷に近づくのね」
女性は感慨深そうに言う。
「楽しみでございます」
そう言って、二人ともしばらくうれしそうに笑い合っていた。
やがて出て行ったようで、ガチャン! と重厚なドアが閉められた。
きっと魔王の関係者だろう。ここに用意した魔物を王都とバンドゥに十万匹ずつ送り込むつもりらしい。俺は決定的な拠点を探し当てた興奮で心臓が高鳴り、思わずガッツポーズをした。スマホで証拠写真も撮っておく。