エステルなりに変わろうとしているらしい。でも、こういうのって長続きしないんだよね。
「はいはい、ネオテルちゃん。着替えるから先行ってて」
「ネオテルじゃないです! ネオ・エステルですぅ!」
「分かったから。それとも何? 着替え見たいの?」
俺はそう言ってニヤッと笑った。
「いや、そ、そういう訳じゃ……。じゃあ食堂行ってるです!」
そう言って真っ赤になって出て行った。
3章 世界をかけた死闘
3-1. 戦闘準備
その日、俺は淡々と作業をこなしていった。ギルドマスターとかけあい、金貨を出してもらって、その金貨を買い取ってもらい、そして卸売問屋に殺虫剤の買い付けに行った。
在庫にあった千個全てを買い取り、倉庫で人目につかないように気をつけながら、床に置いた鏡に放り込んでいく。何しろ殺虫剤は全部で五百キログラム、到底運べないのだ。
鏡に放り込んだ殺虫剤は、宿屋に立てかけておいた鏡からポーンと飛び出してきてベッドの上に転がる。ネオ・エステルはそれを拾って箱の中に入れていく。百個くらい送った後に様子を見たら、
「まだまだ行けるですよ!」
と、ネオ・エステルは笑っていた。
だが、五百個を超えた辺りから疲労が目立ち始め、ただのエステルに戻っていた。仕方ないのでペースを落とし、途中、手伝いながらなんとか千個全部異世界へと運び込めた。これで普通の殺虫剤一万六千個分に相当する。十万匹叩く上ではそこそこ頼れそうだ。
俺は五百キログラムの頼もしい殺虫剤の箱の山を見て、グッとこぶしを握った。
◇
夕方、コンビニで買ってきたクリームブリュレとコーヒーで休憩を入れる。
「どうだ、ネオ・エステル、美味いだろ?」
俺が聞くと、
「もう、ネオは止めたんですぅ」
そう言ってうつむいた。
「あれ? どうしたの?」
「一時的に気合入れるだけじゃ足りないんだなって、思ったんですぅ」
「おぉ、いいじゃないか。それを気づけただけで、もうネオ・エステルだよ」
「えっ?」
「そういう気付きを積み重ねて成長していく事が大切じゃないか、って最近思うんだ。偉そうに言ってるけど、俺自身勉強させられてるよ」
そう言って微笑みながらエステルを見た。
「うふふ……、ソータ様、ありがとですぅ」
「はいはい、ネオテルちゃん。着替えるから先行ってて」
「ネオテルじゃないです! ネオ・エステルですぅ!」
「分かったから。それとも何? 着替え見たいの?」
俺はそう言ってニヤッと笑った。
「いや、そ、そういう訳じゃ……。じゃあ食堂行ってるです!」
そう言って真っ赤になって出て行った。
3章 世界をかけた死闘
3-1. 戦闘準備
その日、俺は淡々と作業をこなしていった。ギルドマスターとかけあい、金貨を出してもらって、その金貨を買い取ってもらい、そして卸売問屋に殺虫剤の買い付けに行った。
在庫にあった千個全てを買い取り、倉庫で人目につかないように気をつけながら、床に置いた鏡に放り込んでいく。何しろ殺虫剤は全部で五百キログラム、到底運べないのだ。
鏡に放り込んだ殺虫剤は、宿屋に立てかけておいた鏡からポーンと飛び出してきてベッドの上に転がる。ネオ・エステルはそれを拾って箱の中に入れていく。百個くらい送った後に様子を見たら、
「まだまだ行けるですよ!」
と、ネオ・エステルは笑っていた。
だが、五百個を超えた辺りから疲労が目立ち始め、ただのエステルに戻っていた。仕方ないのでペースを落とし、途中、手伝いながらなんとか千個全部異世界へと運び込めた。これで普通の殺虫剤一万六千個分に相当する。十万匹叩く上ではそこそこ頼れそうだ。
俺は五百キログラムの頼もしい殺虫剤の箱の山を見て、グッとこぶしを握った。
◇
夕方、コンビニで買ってきたクリームブリュレとコーヒーで休憩を入れる。
「どうだ、ネオ・エステル、美味いだろ?」
俺が聞くと、
「もう、ネオは止めたんですぅ」
そう言ってうつむいた。
「あれ? どうしたの?」
「一時的に気合入れるだけじゃ足りないんだなって、思ったんですぅ」
「おぉ、いいじゃないか。それを気づけただけで、もうネオ・エステルだよ」
「えっ?」
「そういう気付きを積み重ねて成長していく事が大切じゃないか、って最近思うんだ。偉そうに言ってるけど、俺自身勉強させられてるよ」
そう言って微笑みながらエステルを見た。
「うふふ……、ソータ様、ありがとですぅ」