「分かったわ、じゃ、ついてきて」
 おばさんはニコッと笑うと階段を上り始めた。
 ついていくと二階の奥の部屋に案内される。中を見ると、ダブルベッドにテーブルが一つある素朴な部屋だった。さすがにダブルはマズいので、
「ツインの部屋はないですか?」
 と、聞いてみる。
「ごめんなさい、今だとダブルしかないわ」
 おばさんは申し訳なさそうに答える。
 するとエステルは、ダブルベッドにいきなりダイブして、
「うわぁ、フカフカですぅ!」
 うれしそうに笑った。
 俺は一瞬どうしようかと思ったが、よく考えたら俺は自分のベッドで寝ればいいだけだった。
「分かりました。ではここでお願いします」
 おばさんはニコッと笑うと、
「では、おくつろぎください。あっ、あまり大きな声出さないでね。防音はそんなに良くないから……」
 と、ちょっと言いにくそうにして出ていった。
「大きな声? 誰が出すですか?」
 エステルは不思議そうに俺に聞く。
「エステルが出すと思われているんだよ……」
 俺はちょっと赤面して答えた。
「え? なんで私が?」
「何でもいいの! じゃ、俺は自分の部屋行ってる。エステルは一回自宅帰った方がいい?」
 説明するのも恥ずかしいので俺は話題を変えた。
「それじゃ、一回帰って、またソータ様のお部屋に行くです!」
 エステルはそう言ってニコッと笑った。








2-11. 茶髪の女神様

 部屋に戻ると俺はベッドに横たわり、スマホで殺虫剤について調べまくった。十万匹の魔物を倒すのに有効な殺虫剤を見つけないとならないのだ。
 俺一人で噴射し続けても十万匹は無理だ。くん煙式殺虫剤をズラッと並べて一斉噴射とかじゃないとキツそうだ。それでも風向きが悪かったら効かないし、噴射も一分くらいしかもたない。何度も配置しなおさないとならない。
 悩んでいたら、普通のくん煙式殺虫剤十六個分の薬剤が出る業務用の製品を見つけた。これはすごい。きっと魔物を圧倒してくれるだろう。そして、これを束ねて時間差で点火していってやればいい事に気が付いた。導火線に長さの違う線香をつけて、最初に一斉に点火してやれば次々と時間差で噴き出すに違いない。