そう言って立ち上がった。
「何か手伝えることがあったら言ってくれ」
マスターは俺の目をジッと見る。
俺はちょっと考えて言った。
「私の攻撃はこの薬剤を使います。十万匹であれば膨大な量の薬剤が必要になります。調達の費用をお願いできますか?」
「金の事なら心配しなくていい」
マスターはニコッと笑って言った。
なんて頼もしい言葉だろう。
「ありがとうございます」
俺も笑顔で答え、部屋を後にした。
◇
「エステルー、三日後だってどうする?」
「どうするって、殺虫剤でプシューっとやっちゃいましょうよ!」
「あのなぁ、殺虫剤一缶振りまいて五十匹倒せるとするじゃん? 十万匹倒すのに何缶要ると思う?」
「えぇ? うーん……、たくさん……」
エステルはパンクしてしまった。
「二千缶だよ」
俺は肩をすくめて言った。
「に、二千!?」
目をパチクリするエステル。
数は暴力だ。一万匹くらいなら気合で何とかできるかもしれないが、十万匹は想像を絶する。単に殺虫剤振りまくだけでは解決しないだろう。
先輩は俺にどうしろって言うんだろうな……。
「うぅーん……」
俺は腕を組んでうなる。しかし、そう簡単に解決策など見つからない。
「仕方ない、作戦会議でもするか。エステルの部屋は使える?」
俺が聞くと、
「ダ、ダ、ダメです!」
そう言って真っ赤になって首をブンブンと振った。
「いいじゃないか、いつも俺の部屋ばっかりズルいぞ!」
「レ、レディの部屋は秘密がいっぱいなんです!」
どうも本気でダメらしい。しかし、その辺に鏡を置いて日本に戻るわけにもいかない。拠点が必要だ。
すると、目の前に宿屋の木製の看板が見える。
「あー、じゃ、ここに部屋でも借りるか?」
「宿屋ですか……、いいですよ?」
エステルは看板を見ながら答えた。
俺はドアを開け、カウンターのおばさんに声をかける。
「すみませーん、一部屋借りたいんですが……」
おばさんは俺とエステルをチラッと見ると、
「休憩かしら?」
と、言った。一瞬戸惑ったが、ラブホテル的な使い方を聞かれたという事に気が付いた。
「ち、違います!」
あわてて答える。
「あ、お泊りね。何泊かしら?」
「三泊だといくらですか?」
「銀貨三枚ね。食事つきだと四枚よ」
「うーん、じゃ、食事付きで三泊お願いします」
「何か手伝えることがあったら言ってくれ」
マスターは俺の目をジッと見る。
俺はちょっと考えて言った。
「私の攻撃はこの薬剤を使います。十万匹であれば膨大な量の薬剤が必要になります。調達の費用をお願いできますか?」
「金の事なら心配しなくていい」
マスターはニコッと笑って言った。
なんて頼もしい言葉だろう。
「ありがとうございます」
俺も笑顔で答え、部屋を後にした。
◇
「エステルー、三日後だってどうする?」
「どうするって、殺虫剤でプシューっとやっちゃいましょうよ!」
「あのなぁ、殺虫剤一缶振りまいて五十匹倒せるとするじゃん? 十万匹倒すのに何缶要ると思う?」
「えぇ? うーん……、たくさん……」
エステルはパンクしてしまった。
「二千缶だよ」
俺は肩をすくめて言った。
「に、二千!?」
目をパチクリするエステル。
数は暴力だ。一万匹くらいなら気合で何とかできるかもしれないが、十万匹は想像を絶する。単に殺虫剤振りまくだけでは解決しないだろう。
先輩は俺にどうしろって言うんだろうな……。
「うぅーん……」
俺は腕を組んでうなる。しかし、そう簡単に解決策など見つからない。
「仕方ない、作戦会議でもするか。エステルの部屋は使える?」
俺が聞くと、
「ダ、ダ、ダメです!」
そう言って真っ赤になって首をブンブンと振った。
「いいじゃないか、いつも俺の部屋ばっかりズルいぞ!」
「レ、レディの部屋は秘密がいっぱいなんです!」
どうも本気でダメらしい。しかし、その辺に鏡を置いて日本に戻るわけにもいかない。拠点が必要だ。
すると、目の前に宿屋の木製の看板が見える。
「あー、じゃ、ここに部屋でも借りるか?」
「宿屋ですか……、いいですよ?」
エステルは看板を見ながら答えた。
俺はドアを開け、カウンターのおばさんに声をかける。
「すみませーん、一部屋借りたいんですが……」
おばさんは俺とエステルをチラッと見ると、
「休憩かしら?」
と、言った。一瞬戸惑ったが、ラブホテル的な使い方を聞かれたという事に気が付いた。
「ち、違います!」
あわてて答える。
「あ、お泊りね。何泊かしら?」
「三泊だといくらですか?」
「銀貨三枚ね。食事つきだと四枚よ」
「うーん、じゃ、食事付きで三泊お願いします」