さらに少し濃くなった口にエールを流し込むと……最高! まるで天国だ。
俺もエステルも無言でひたすら貪り食った。これは東京でお店やってもウケるに違いない。異世界恐るべしである。
「お肉以外も食べてね~!」
そう言って、おばちゃんが野菜の煮込みと豆を潰した練り物の皿を並べた。
野菜はボルシチっぽく、豆は中東のフムスに似ていて両方ともメチャクチャ美味い。このお店、凄すぎる。毎晩通いたいくらいだ。
あっという間にエールが空いたので、
「おかわりお願いしまーす!」
と、おばちゃんに頼むと、エステルも
「私も~!」
と言ってジョッキを掲げる。
「あれ? エステルってお酒飲んでいい歳なんだっけ?」
今さらながら不安になってきた。
「こう見えても、もう大人なんです!」
「え? いくつ?」
「レ、レディーに歳聞いちゃダメなんです!」
そう言ってプイっと向こうを向いた。
「ごめんごめん。でも、飲み過ぎないでよ」
「大人なので大丈夫です!」
胸を張るエステル。
大人……、ねぇ……。俺は嫌な予感がよぎる。
◇
「そう言えば『シューカツ』は大丈夫ですか? お祈りしてるですか?」
肉をかじりながらエステルが聞いてくる。
「就活ね、今はやってる暇がないな。ここでの暮らしに目途が付かなきゃまた始めないと……」
「シューカツすると何が良いですか?」
「いい会社に入れるんだよ」
「いい会社? 毎日金貨もらえるですか?」
「いや、そんなにもらえない……」
「楽しいんですか?」
「いや、楽しいわけではないんじゃないかな? 四十年間毎日お仕事に通い続けるだけだから……」
俺は自分で言ってて暗い気持ちになって沈んだ。
「四十年!? 楽しくないことやったらダメです!」
エステルはあきれて怒る。
「いや、お金稼がないと……。衣食住にはお金かかるでしょ?」
「そのくらい、私が何とかするです! シューカツしなくても大丈夫です!」
エステルはニッコリと笑う。
「え?」
俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。それって……、ヒモってことじゃないの?
「いやいやいや、そんな、エステルに頼れないよ」
「ソータ様は私の恩人です。遠慮しなくて大丈夫です!」
エステルはそう言って胸をポンと叩いた。
俺は困惑した。
俺もエステルも無言でひたすら貪り食った。これは東京でお店やってもウケるに違いない。異世界恐るべしである。
「お肉以外も食べてね~!」
そう言って、おばちゃんが野菜の煮込みと豆を潰した練り物の皿を並べた。
野菜はボルシチっぽく、豆は中東のフムスに似ていて両方ともメチャクチャ美味い。このお店、凄すぎる。毎晩通いたいくらいだ。
あっという間にエールが空いたので、
「おかわりお願いしまーす!」
と、おばちゃんに頼むと、エステルも
「私も~!」
と言ってジョッキを掲げる。
「あれ? エステルってお酒飲んでいい歳なんだっけ?」
今さらながら不安になってきた。
「こう見えても、もう大人なんです!」
「え? いくつ?」
「レ、レディーに歳聞いちゃダメなんです!」
そう言ってプイっと向こうを向いた。
「ごめんごめん。でも、飲み過ぎないでよ」
「大人なので大丈夫です!」
胸を張るエステル。
大人……、ねぇ……。俺は嫌な予感がよぎる。
◇
「そう言えば『シューカツ』は大丈夫ですか? お祈りしてるですか?」
肉をかじりながらエステルが聞いてくる。
「就活ね、今はやってる暇がないな。ここでの暮らしに目途が付かなきゃまた始めないと……」
「シューカツすると何が良いですか?」
「いい会社に入れるんだよ」
「いい会社? 毎日金貨もらえるですか?」
「いや、そんなにもらえない……」
「楽しいんですか?」
「いや、楽しいわけではないんじゃないかな? 四十年間毎日お仕事に通い続けるだけだから……」
俺は自分で言ってて暗い気持ちになって沈んだ。
「四十年!? 楽しくないことやったらダメです!」
エステルはあきれて怒る。
「いや、お金稼がないと……。衣食住にはお金かかるでしょ?」
「そのくらい、私が何とかするです! シューカツしなくても大丈夫です!」
エステルはニッコリと笑う。
「え?」
俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。それって……、ヒモってことじゃないの?
「いやいやいや、そんな、エステルに頼れないよ」
「ソータ様は私の恩人です。遠慮しなくて大丈夫です!」
エステルはそう言って胸をポンと叩いた。
俺は困惑した。