Cランクに到達できるのは二十人に一人くらいで、なおかつ多くが中年のベテランなので、俺みたいに若くてCランクなのは超エリートなんだそうだ。悪い気はしないが……、ただ殺虫剤まいているだけなのでちょっと気が引ける。

        ◇

 ギルドを後にする頃にはすでに真っ暗になっていた。
「時間かかっちゃったね、ごめんね」
 俺はエステルに謝る。
「そんなの全然大丈夫ですぅ。それより、お腹すいてないです?」
 エステルは俺を覗き込むように見つめ、ニッコリと笑う。
「あー、お金儲かったし、パーッと行くか!」
 俺はニヤッと笑って言うと、エステルは、
「やったぁ!」
 と、言ってピョンと飛んだ。

       ◇

 エステルのおすすめのレストランに入ると、おばちゃんが声をかけてくる。
「あら、エステルちゃん! いい男連れてデートかしら?」
「デ、デート!? ち、違いますよぉ、パーティ結成記念なんです!」
 真っ赤になって答えるエステル。
「ふぅん……、じゃあそこのテーブル使って」
 俺たちは窓際の、花が一輪飾られた席に座った。

「ここは肉料理が美味しいんですよ!」
 エステルがうれしそうに言う。
「好きなの頼んでどうぞ」
 俺は微笑みながら返す。そう言えばまともな食事は久しぶりかもしれない。期待が高まる。

 結局、俺はエール、エステルはリンゴ酒、それからエステルがお勧めの料理をいくつか頼んだ。

 すぐにやってくる木製のジョッキ。
「それでは、無事の帰還を祝って!」
「カンパーイ!」「かんぱーい!」
 俺たちはジョッキをゴツっとぶつけてお互いの健闘を祝った。
 ゴクゴクっとエールを飲むと、ホップの香りが鼻腔をくすぐって爽快だ。
「カーッ! 美味い!」
「美味しいですぅ」
 ニコニコするエステル。

「はい、おまたせ~!」
 しばらくすると、おばちゃんが大きな皿をドンとテーブルに置いた。
 皿には大きな骨付き肉がどっさりと入っている。
「うわっ! なにこれ!?」
 俺が驚いていると、エステルはいきなり手づかみで(かじ)り付いた。そして、
「美味しいですぅ~」
 と、うっとりと幸せそうな顔をする。
「どれどれ……」
 俺も真似して(かじ)り付く。癖のない旨みたっぷりの肉汁がジュワッと湧き出て、甘辛いスパイシーなタレのとのハーモニーが奏でられる。これは美味い!