就活か魔王か!? 殺虫剤無双で愛と世界の謎を解け!~異世界でドジっ子と一緒に無双してたら世界の深淵へ

 サラサラとした金髪に深い青をたたえた碧眼、少し幼さを残した美しい顔の透き通る白い肌に、俺はつい見入ってしまう。例え奴隷になったとしてもまた会えてよかった。俺は湧き出してくるうれしさに思わずほおが緩んだ。

「エステル……」
 俺が声をかけると、エステルはこちらを向く。そして、クリッとした目で俺をジッと眺め……、
「どちら……様です?」
 と、首をかしげて言った。
 
「この四日間、エステルと一緒に冒険をしてきたソータだよ」
 俺は優しく言った。
「四日……? あれ? 私は何してたですか? 思い出せないですぅ……」
 エステルは不思議そうに首をひねる。

「ダンジョン行ったらエステルがゴブリンに襲われていてね、一生懸命戦って助けたんだよ」
「えっ!? 私は大丈夫だったですか?」
 丸い目をして驚くエステル。
「大丈夫、ちゃんと守ったんだ」
 俺はしみじみと当時の事を思い出しながら優しく答えた。
「ありがとうですぅ」
 うれしそうなエステル。

「その後、一緒に冒険したら、スライムにエステルが食べられちゃってねぇ……」
「えっ!? 私やられ過ぎじゃないです?」
「大丈夫、また助けたんだ」
「ありがとうですぅ……」
 俺はさらに、ワナに何度も落ちたこと、毒矢にやられて死にそうになったことなどを伝えた。
「なんだかすごく迷惑かけちゃいました……」
 エステルは恐縮する。
 と、その時、エステルが急に何かに押されたようによろめいた。
「わぁ!」
「おっと危ない!」
 俺はエステルを抱きかかえた。
 柔らかく温かいエステルの香りが、ほのかに立ち上ってくる。
 俺はその大好きな匂いについ、涙がポロリとこぼれた。
「ソ、ソータさん……? ん? ソータ……様?」
「え? 思い出した?」
 俺は驚いてエステルの顔を見つめた。
「わからない……、わからないです……。でも、この匂い……好き……」
 そう言ってエステルは俺の胸に顔をうずめる。
 俺も優しく抱きしめる。息とともに緩やかに揺れるエステルの温かさを、俺は全身で感じていた。

















3-25. 言い損ねてたプロポーズ

「エステル……俺は君に言い損ねていたことがある」
「なんです?」