「なに来てんだよ、アホ」

「匡!」
「うお、金髪」

祐介くんと太一くんの前に飲み物を並べる匡。

二人と楽しそうに会話をし始めた。


「染め直したのかよ。
いいのか?優等生のふりは。」

「もう友達できたからいいんだよ。」

「アハハ!匡は金髪だって友達できるよー」

太一くんの台詞に匡は苦笑いをする。

「全然だよ。
最初はまじでずっとぼっちだった。」

「ハハッ、まじ!?」

「都が協力してくれたから友達できたんだよ。」

「へぇ~」

「いやいや、私なんてちょっとしかお役に立ててませんよ!」

「都が教えてくれなきゃわからなかった。
普通のヤツとのつきあい方。」

「まぁ多少矯正はしたけど、
基本は匡が頑張ったからだよ。」

私がそう言って笑うと、匡は私に笑顔を返した。

不意打ちの笑顔に思わず顔をそらす。


「と、いうわけで。」


匡は私の肩に手を置くと、
とんでもないことを言い出した。

「コイツ、俺の彼女にするから。
余計なちょっかい出したら殴る。」

「ほぉ」
「うおー!匡が本気出した!!」

「なっ、何言ってんの!?またしても!!」

「あ、匡。さっきは知らなかったから
都ちゃんの手握っちゃったけど、ノーカンな。」

「まぁ許す。」

「ちょ、ストップ!
彼女にするって何!?
私付き合うなんて…」


言葉を続けようとして、周囲の存在を思い出した。

恥ずかしくて口をつぐむ。


その時、お昼のチャイムが鳴った。

前半組と後半組のシフト交代の時間だ。


「じゃあ、祐介、太一。楽しんで。」

「おう」
「ばいばーい」


混乱する私をよそに、匡は二人に挨拶すると、
私の手を引いて教室から連れ出した。