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9月下旬ーー

私たちの学校は外部の人も交え、賑わっていた。

文化祭だ。


高校生活初めての文化祭に、
私のテンションは上がりまくっている。

私たちのクラスはカフェの模擬店を出す。

テーマはまさかの"ヤンキー"

一時の匡のヤンキー化を完全にいじったテーマだった。


「これが憧れのいじりか…」
とか、匡は謎に嬉しそうにしていた。


「奈々ちゃ~ん!写真撮ろ!」

「いいよ!」

「都、こっちもー!」

「すぐいく♪」


当日になってみればテーマに愛着もわき、
ありとあらゆる友達と写真を撮りまくり。

開店前なのに、すでにスマホの今日のデータは100枚に達していた。


90年代のヤンキーや今時のスタイリッシュなヤンキーまで、あらゆる衣装に身を包むクラスメイト。


私はヤンキーと言うかギャル風の格好。

麗香は長い丈のスカートでいわゆるスケバン。

長崎くんはリーゼントのかつらとボンタンだ。


「長崎くん、似合わないね…」

笑いをこらえながら声をかけると、
長崎くんは恥ずかしそうに振り返った。

「近衛は案外似合うな。」

「えへへ、ありがとう!
麗香もド迫力でしょ。」

()が高いわよ、長崎くん」

「スケバンと言うより女王様だな。」

「アハハっ、たしかに!」

「それより都、谷くんは?
今日の主役みたいなものなのに。」

「あ、そう言えば…」


匡は衣装は作ってもらえず、
ありのままで来い!なんて実行委員に言われ、
今日までどんな格好で来るのかわかっていない。


私たちがキョロキョロしていると、
入り口付近がざわっとなった。