「ところで…」

合コンもどきで一緒だった須藤くんが話を切り出した。

「谷と近衛って付き合ってんの?」

「えっ!!///」

私の顔が一気に熱くなる。


付き合ってないけど、匡も私もお互いを好きで…
なんて言ったら、きっとどうして付き合わないのかって聞かれる。

付き合ってない理由は、なんか言いたくない…


「…っえっと…「付き合ってないよ。」

私が困って発した言葉を遮るように
匡ははっきりそう言った。

「ええー!」
「まじか」

匡の言葉を聞いて、クラスメイトがざわつく。

そうだ。
どっちがどっちを好きとかそういう話はしなければよかったんだ。

私ってアホだ…。


そう一人で納得していると、
匡がとんでもないことを言い出した。


「でも俺は都が好きだ。」

「なぁ!!?///
何言ってんの!!」


クラス中にどよめきが起こる。

「公開告白!?」
「やば!!」

何言ってくれてんの、コミュ障元ヤン!!

「…じゃあ、近衛は…?」

恐る恐る須藤くんが私にそう聞いた。

クラスに沈黙が流れる。


「私は…っ「今度でいい。」

またも焦る私の言葉を遮ってくれたのは匡。

「谷、ここで答え聞くのが怖いんだろ!」

「今はまだいいんだよ。」

須藤くんがからかっても、冷静にかわしている。


その時チャイムが鳴り、先生が入ってきたのでみんな自分の席に戻ることになった。

私も自席に行こうとしたとき、
匡がそっと私の肩を掴んだ。


「周りは固めた。
恋愛が怖いことなんてどうでもよくなるくらい
惚れさせてやるから。」

「っ!!」

「朝言ったろ。覚悟しとけって。」


耳元でささやかれる低い声。


溶けるような甘い言葉を
脅迫するような声音で言う。

そんなのズルいよ…。


真っ赤になった顔を隠すように
私は自分の席に駆け足で向かった。


私は匡の言う覚悟がまだまだ足りなかったことを、迫る文化祭で知ることになる。