「匡って…
バカなの?」


久々に目を合わせてかける言葉がこれ。

私ってどーしようもない…


「バカはお前だろ。
なんで振った相手がキスすんのが嫌なんだよ。」

「それは…」


匡から目をそらす。

でも匡は久々に合った私の視線を逃さなかった。


「なんでだよ。」


「…わ、わた…いや…あの」


きっと私の顔真っ赤だ。

だって首まで熱いもの。

隠そうとしているものを全て見られている気分。


「俺とキスすればわかるよ。」


「は!!?な、何言って…!」


「ここで拒否するなんてズルすぎる。」


匡は私の手首を力強く握った。

振りほどけない…!


「嫌なら殴れ」


殴れるわけない。
違う。

嫌なわけない…。


私たちの唇は引かれ合った。


初めての感触。

冷たくて、温かくて、
生々しい 他人との触れあい。

それでも…気持ちいい。


「…っぅん…」

「…舌、からめて」


匡の舌が私の上顎を這う。

電撃が走るような感覚。

息ができないくらいの激しいキス。

痛くも悲しくもないのに涙が出る。


「ぁ…き、…」

「…っ都、好きだ。」


ホント私ってどーしようもないバカだ。

どうして終わりがあるものをとるんだろう。


世の中のカップルみんなそうだ。

どうして終わるかもしれない恋をするの?

どうして怖くないの?


どうして…


わかっているのに、好きって気持ちは消えないの?


教えてよ。


私はただ静かに匡とのキスに深く深く溺れていった。