コミュ障な元ヤンくんに今日も溺愛されてます。




匡がグレた。


日々増える怪我。

授業も時々サボっている。


「匡、移動教室だよ。」

「知ってる。」

「行かないの?」

「……。」

今まで通り声をかけても、そっけない返事。

「都、先行こう。」

「先行くね、匡」

「……。」


「やっぱり、今まで通りなんて無理なのかな。」

歩きながら麗香に呟く。

「…今はそっとしておく方がいいかもね。」

「うん。」




そっとしておいたら、さらにグレた。


校内で殴るとはいかないまでも、
因縁をつけてきた相手の襟首を掴み上げる騒動。

たまたま近くにいた私と長崎くんが止めに入ったが、相手の男子は咳き込み、恨めしい目で匡を見ていた。



さらには…

「匡~くん♡」

ある日、廊下で猫なで声で呼ばれるその名前に
私は反射的に反応した。


「あれ、3組の松田さんだよ。」

麗香が私にささやく。


松田さんは匡の腕に自分の腕を絡め、
頭を匡の肩に擦り寄せている。


ちょっと!近すぎでしょ!


しかし、匡に振りほどく様子はない。

そのまま歩いていってしまった。


メガネをとって、女の子人気が高まっているらしいという噂は本当だったようだ。


「いいの?」

「いいもなにも、私に止める権利なんて…」

「たしかにそうね。」

「…うん。」


そう。たしかにそう。

私に止める権利なんて、全く!心の底から!
ないってわかってる

わかってるつもりなのに…


「私、何か間違えてるのかな…。」

「知らないわよ。」


麗香のいつも通りの返事に、私は笑顔を返した。

「私も…わからないんだぁ…」

心の底に秘めていたことを言ってしまって、
急に泣きそうだ。

正解がわからない。

わからない。

私って間違えてるのかな。

どうすれば…


「知らないわよ。」


麗香の突き放すような口調。

でも意地悪じゃないって私は知ってる。


「アハハ…」


自分で考えなくちゃ。

行かなくちゃ。


私は答えのでないまま匡と松田さんのあとを追って走り出した。