コミュ障な元ヤンくんに今日も溺愛されてます。




***


翌日、麗香に昨日の話をしていたら、
さっきの奈々ちゃんの衝撃報告だ。


「谷くんが不良になっちゃったんだよ!!」


私と麗香は慌てて教室に駆けつけた。


中に入ると、明らかにいつもと違う教室の空気。

奈々ちゃんの言う通り、匡はメガネをしておらず、口許には絆創膏が貼ってあった。


クラスメイトの視線が私と麗香に向けられ、
安心したような空気が流れる。


「都、麗香。
どういうことなのか谷くんに聞いてよ!」

「えっと…」

「長崎くんが声かけても不機嫌で、
突然不良化した理由がわからないの。」


突然不良化したというより、
元ヤンだったのが再びヤンキーに戻ったという方が正しい。

でもそんなことはクラスメイト誰も知らなくて、匡はずっと隠したがってたはずなのに…


「都」

麗香に耳打ちをされる。

「これって完全に都に振られたからよね?」

「う…そうかも。」

昨日の今日だ。
自惚れと謙遜するには、直接的すぎる。


「私が聞くわ。」

「麗香!よろしく!」

奈々ちゃんが背中を押し、
麗香が匡の席に向かった。

クラスメイトの視線が集中する。


私はこっそりと自分の席についた。

「都は行かないの…?」

奈々ちゃんの質問を適当な相づちで流す。


会話の細かいところは聞こえないけれど、
二人は何回か言葉を交わした。


匡は立ち上がり、教室を出ようとする。

麗香は匡の腕をつかんで引き留めた。

クラス中沈黙し、二人の様子を見ている。


「離せよ。」

あ、今…

「待ちなさいよ。逃げるの?」

匡と目が合った…。

「っ離せ」


麗香の手を振り払った匡。

よろけた麗香を春佳が支える。


教室を出る匡に麗香は

「ばっかじゃないの!ガキ!」

と、捨て台詞を吐いた。


さ、さすが麗香…
元ヤンの匡ならまだしも、あんな怖い目付きの匡にいつも通りの暴言。


匡は振り返ることなく教室を出ていった。