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翌日、麗香に昨日の話をしていたら、
さっきの奈々ちゃんの衝撃報告だ。
「谷くんが不良になっちゃったんだよ!!」
私と麗香は慌てて教室に駆けつけた。
中に入ると、明らかにいつもと違う教室の空気。
奈々ちゃんの言う通り、匡はメガネをしておらず、口許には絆創膏が貼ってあった。
クラスメイトの視線が私と麗香に向けられ、
安心したような空気が流れる。
「都、麗香。
どういうことなのか谷くんに聞いてよ!」
「えっと…」
「長崎くんが声かけても不機嫌で、
突然不良化した理由がわからないの。」
突然不良化したというより、
元ヤンだったのが再びヤンキーに戻ったという方が正しい。
でもそんなことはクラスメイト誰も知らなくて、匡はずっと隠したがってたはずなのに…
「都」
麗香に耳打ちをされる。
「これって完全に都に振られたからよね?」
「う…そうかも。」
昨日の今日だ。
自惚れと謙遜するには、直接的すぎる。
「私が聞くわ。」
「麗香!よろしく!」
奈々ちゃんが背中を押し、
麗香が匡の席に向かった。
クラスメイトの視線が集中する。
私はこっそりと自分の席についた。
「都は行かないの…?」
奈々ちゃんの質問を適当な相づちで流す。
会話の細かいところは聞こえないけれど、
二人は何回か言葉を交わした。
匡は立ち上がり、教室を出ようとする。
麗香は匡の腕をつかんで引き留めた。
クラス中沈黙し、二人の様子を見ている。
「離せよ。」
あ、今…
「待ちなさいよ。逃げるの?」
匡と目が合った…。
「っ離せ」
麗香の手を振り払った匡。
よろけた麗香を春佳が支える。
教室を出る匡に麗香は
「ばっかじゃないの!ガキ!」
と、捨て台詞を吐いた。
さ、さすが麗香…
元ヤンの匡ならまだしも、あんな怖い目付きの匡にいつも通りの暴言。
匡は振り返ることなく教室を出ていった。



