「きょう…」


なぜかすごい形相でにらんでいる。

間下とのこと話したことないのに…。


「どもども。友達?
俺、二人の中学のクラスメイト。」

「へぇ」

「てか女子2人に男子1人?
すごいメンツ。」


バカにするような言い方だ。

でも、匡は怒らなかった。


「俺友達少ないから。」

「ぽいわww」

「ちょっと、間下くん」

「冗談♪冗談♪」


昔は好きだった笑顔も、いまや不快感しかない。


「私たち今勉強してるから。」

「さっき花火とか言ってんの聞こえたし。」

「いいから。帰って。」


麗香が懇願するように言うと、
間下は嫌味ったらしく笑い、その場を立ち去った。

とは言っても、友達と来ているらしく、
店を出ることなくどこかに座ったようだ。


「ありがとね。麗香」

「いいのよ。あんなカス。」

「アハハ…」

「なに?あいつ。」

匡が私に尋ねた。

「中学のクラスメイト。」

「……。」


匡は黙ったまま。

そりゃそうだ。

元クラスメイトに対する態度じゃなかった。


匡になら…言ってもいいかもしれない。

共感してくれなくても、怒ってくれなくてもいい。

ただ『負けるな』って…
言ってくれれば…。



「好きだったんだぁ」

匡は私の下手な愛想笑いを無表情で見つめている。


「ずっと好きで…卒業式で告白しようと思ってたの。
でも、その前に俺のこと好きなの?って聞かれて、とっさに否定しちゃって。

そしたら…私の距離が近いのが思わせぶりだって怒って…
お前の距離感はおかしいって言われた。

そのあと、陰で…」

私は一度重たい唾を飲み込む。

「私のこと、ヤれると思っただけだって間下が言ってたの聞いて…
男子とも女子とも距離感がわからなくなっちゃったんだ。」


「都…」

心配そうに名前を呼んでくれる麗香に笑いかける。

「でも、麗香のお陰で女子とはまた距離感気にせず仲良くなれるようになってきたの。」

「……」


匡は黙ったまま。


「匡?」


顔を覗き込んで、身が固まった。


この目…

怒ってる目だ。

いつだったか不良に絡まれたとき、
1対2で相手を殴り続けてた…

あのときの目。


「き…「どいて。」


肩を押され、私は半ば無理やり立ち上がった。

匡は席から離れ、間下が歩いていった方へ向かっていく。


「れ、麗香!ここで待ってて!」


私はあわててあとを追いかけた。