「どこがいいかしらね。」
なんだかんだ麗香もノリノリだ。
「私、プールか花火大会行きたい!」
「谷くんとプールなんていやよ。」
「お前な…
もうちょいオブラートってもんを知れ。」
「じゃあ花火に…「あれ、西園寺?」
私の背後から聞いたことのある低い声がして、
私は凍りついたように身を固めた。
「……。」
麗香は黙ったまま声の主の方を見上げている。
嫌な…予感。
「卒業以来だな、誰と……
っ!」
ああ、
最悪。
冷や汗が額ににじむ。
喉の奥に何かがつっかえたみたいな嫌な感じ。
妙に冷静に、私は自分の身体の変化を感じ取っていた。
振り返りたくない。
そのとき、ぐいっと肩を掴まれ
意思とは逆に後ろを振り向かされた。
「近衛。」
「間下…」
中学3年生のトラウマ。
私の好きだった人。



