放課後になり、いつものように麗香と匡と
校舎を出た。
麗香はお迎えの車の運転手さんと少し会話し、
「お待たせ」
と、私たちのもとに戻ってきた。
「お車、乗らねぇのかよ。」
「ええ。今日は話すことがあるから。」
「話すこと?」
麗香が私に目配せする。
「あ、のさ…
匡の私への協力ってどうなってるのかな…って」
「え?」
「合コン…とかさ。どうかな?」
「……。」
匡はなにも言わず黙ったまま。
「プッ!!」
なぜか麗香が吹き出した。
「なに?なんで笑ったの?」
「いや…フフ…っ」
麗香がこんなに笑うの珍しい…。
匡の顔を見ると、イライラしているのが目に見えてわかった。
なんで怒ってるの…?
麗香と匡にしかわからないような空気。
私にはまるで意味がわからない。
「わかったよ。合コンだろ。
メンツはクラスの男でいいか。」
「うん。
あ、こっちも奈々ちゃんとか春佳呼ぶね。
匡はもう仲良くなっちゃってる人ばっかになるけど…」
「別にいいよ」
「……
怒ってるの…?」
匡はなにも言わず私から顔を背けた。
「ごめん…えっと…」
「何が。」
「……。」
私はそれ以上なにも言えなくなって黙った。
匡は私からぷいと顔を背け、
いつもの仏頂面でまた歩いていった。



