翌朝ーー

いつもより早く学校に集合し、
長崎くんの登校を待つ。


「なんでこんな朝早いんだよ。」

「長崎くんは朝自習してるらしいよ。」

「げえ。変態だな。
てか西園寺は?」

「麗香は朝早いのNGだから。」

「なに?低血圧とか?」

「いや、普通に早起き苦手なだけ。」

そのとき、ポコンっとラインの通知が二人同時に来た。

「麗香だ」

グループチャットに麗香のコメント。

『おはよう。
今朝は参加できずごめんなさい。
早起きが苦手って言うのはもちろん、
朝6時に谷くんのために早起きって考えると
イラついて眠れませんでした。』

「っ!!
なんでこいつはいちいちこう腹立つ言い方すんだよ…!」

「アハハっおもしろがってるんだよ。
匡がすぐむきになるから。」

「つまりここで怒ったら負けってことだ。」

匡はふーっと息を吐くと、
メッセージを打ち始めた。


『夜中まで起きてたのは心配です。
さらにヒステリーにならないか。』


全然怒ってんじゃん。

私はこらえきれず、お腹を抱えて笑った。


二人のケンカは、最近コントを見ているような
気分になってきている。

麗香は実際楽しんでるだろうし。


「ハァ、ハァ…笑い疲れる…。」

「朝から元気だな。」

「アハハ!楽しいもん!」


笑顔を向けると、匡もまた嬉しそうに笑った。

匡も楽しんでるのかな。

なんか、いいな。
3人でふざけて、笑いあって…。


「長崎、まだかな。」

「もうすぐ来ると思うけど。」

「てゆうか、なんで長崎の登校時間を都が知ってんだよ。」

「本人に聞いたんだよ。」

「……。」


匡は黙ったまま、何も書いていない黒板を見つめた。