匡に私と麗香以外の友達ができた。


「谷くん、さっき寝てたっしょ。」

「バレた?」

「かくんかくんしてたもん!バレバレ~」
「キャハハ!」


ただし女子のみ。

奈々ちゃんと春佳だ。


匡は結構嬉しそうに話している。

私と麗香と話すときとは違い、
言葉遣いには注意しているようだ。


「私たちそろそろ部活だ。」
「また明日~」

「また」
「また明日」
「バイバ~イ!」


放課後は部活のある奈々ちゃんと春佳と別れ、
大抵3人で帰る。


「谷くん、友達が増えた感想は?」

「普通に嬉しい。」


麗香の質問にきっぱりそう言いきる匡。

もはや泣けてくる。
どんだけ友達ほしかったんだって言う…


「でも私と仲良いの基本女子だから、
男子の友達できないね…。」

「谷くんは男子の友達ほしいの?」

「ほしい。体育の時はいまだにぼっちだ。」

「ぶはっ!!」

私が思わず吹き出すと、
匡は「笑うな」と頭を軽くはたいた。

「都、クラスで一番仲良い男子は?」

麗香の質問にうーんと首をひねる。

間下のトラウマ以降、男子とはそんなに仲良くなれてないんだよな…。

「しいて言うなら、長崎くんかな。」

「ああ。学級委員の。」

「くそ真面目そうなやつな。」

匡は自分の見た目を棚にあげて、
「暗そうで、いい子そう」
と付け足した。


「たしかに真面目。
だけど、暗くないよ。
女子とも垣根なく話してくれるから
私も真っ先に仲良くなったの。」

「そう言えば私ですら話しかけられたことあるわ。」

麗香が納得したように言う。

「西園寺は黙ってればいい人そうだからな。」

「黙ってればって何よ!」


まったく、すぐケンカするんだから!


「とにかく!
長崎くんが一番攻略しやすいよ。どう?匡」

「俺は友達になってくれるなら誰でも。」
「攻略って乙女ゲームみたいね。」


長崎くんなら友達も多いだろうし、
男友達ネットワークも私より広いはずだ。


「よしっ頑張ろう!」

「おー」


私たちは明日、長崎くんに話しかける決心をした。