「ハァ…」
数秒の沈黙後、間下の口から重たいため息がこぼれた。
「なんだよ。思わせぶりだな。」
「えっ…」
「クラスの男子に聞いたら、近衛が距離近いヤツだなんて誰も言ってなかった。
俺にだけ距離近いなんて、普通そう思うだろ。」
「そ、その…えっと…」
間下、なんか怖い。
怒ってる…?
「恥かかせやがって。」
「ご、ごめ…」
間下はカバンを持ち、隣から立ち上がった。
「お前の距離感おかしいよ」
間下はそう言い捨てて、図書室から出ていった。
私は震えが止まらなかった。
どうして…どうして…
間違えた?
告白すればよかったの?
間下は私のことが嫌いだったの…?
どうして間下が怒ったのか、
間下の本当の気持ちも何もわからないまま
涙も出ず、その日を過ごした。
翌日、麗香に事情を話し、
間下にちゃんと気持ちを告げに行こうとしたら
最悪の会話を聞いてしまった。
「はぁ~、マジがっかり。近衛。」
「ハハッ!好かれてなかったらしいな。」
一緒に話してるの、竹田だ。
「竹田がいけるって言ったんだろ!?」
「俺が悪いのかよ。近衛だろ?」
「ベタベタ引っ付いてくるから
ヤれると思ったのによ!」
「そんなこと言いつつ、
間下は近衛のこと好きだったんだろ?」
「…なわけねぇだろ。
ヤれると思っただけだよ。」
私は愕然とした。
昨日から体の中にせき止められていた涙が
勢いよく溢れだした。
そっか。
私、間違えたんだ。
告白してもしなくても、私の想いが成就することはなかったんだ。
答えがわかったのに、胸の中のしこりは消えない。
意思とは裏腹に視界を遮るだけの涙が流れ続けた。



