ちゃんとしろ、都。

一番近くにいる『男子』だからって、簡単にドキドキしすぎだ…。

それに、過去の記憶に心を奪われてる場合じゃない…


匡は最近奈々ちゃんや春佳とも人見知りすることなく話せるようになってきたし、
私だって彼氏作り進展しないと…!

そうじゃないと、私はまた…


「このあとどうする?」

声をかけられ、はっとなった。

「麗香…」

「都?ぼーっとして大丈夫?」

「…ごめん!このあとだよね?」

「うん。」

「お腹すいたし、どっか入ろう。」


慌てて取り繕った笑顔に、麗香はいぶかしげな視線を向けた。


「都、何かあった?」

「…いや…ちょっとだけ中学のこと思い出しちゃって。」

「…気持ちはわかるけど、
あんなやつのこと忘れなさい。」

「そう…だよね。わかってるんだけどさ。」

「あんなやつカスよ!カス!!
次会ったらひっぱたいても怒られないわよ。」

「ふふ…それは言いすぎ…。」


麗香の言葉で幾分胸の中のモヤモヤが晴れた。


「引きずってるから匡とこんな同盟組んでるんだよ。」

「…」

「私、前に進めてるのかな…」

「進めてるよ。
私は都が間違ってるなんて思ってないし、
今までも思ったことない。」


麗香は力強く私の手を握ってくれた。

これ以上くよくよしてたって仕方ないよね。


「そうだね。頑張るよ。
絶対彼氏作ってやる!」


ガッツポーズでそう意気込むと、
麗香は安心したように笑った。




私の心に引っ掛かっている言葉ーー

私には乗り越えなければいけない過去の壁がある。