数日友達をやっているけど、
匡と二人で帰るのは初めてだ。

ちょっと緊張…

彼氏ができたらこんな風に登下校して、
寄り道とかして、
最後は『家まで送るよ』とか言われたい~♡


「おい、なにアホ面してんだ。」

「あっ、アホ面って!ひどいよ!」

ちょっと妄想してただけだよ!


「近くまで送るよ。」

「えっ」


匡の顔を見ると、当たり前と言いたげな顔。


「いいよ!
友達と帰るたびに送ってたら、大変だよ?」

「他のやつにはやらねぇよ。」

そう言って、私の瞳を鋭い目がとらえる。



「あっ、そっか。
麗香は車だし、奈々ちゃんと春佳は電車だもんね!」

匡の整った顔はみるみる苦そうな顔になり、
はぁっとため息をついた。

「??ど、どうしたの?」

「いいよ、なんでもねぇよ。」

再び歩き出した匡を不思議に思いつつも、
話題を変える。

「麗香からの宿題、どうするつもり?」

「まぁネットでも見て…」

言葉を途中で切った匡を不思議に思い、
その視線の先に私も目を向けた。


そこには他校の制服を着た知らない男子2人。

すぐに
「谷じゃねぇか」
「女連れてるぜ」
と、こちらに歩み寄ってきた。

あんまり中学の友達が再会を喜ぶ様子には見えない。


「匡?」

「都は帰ってろ。」

「え、で…でも」

「なにが帰ってろだよ。」
「帰しちゃダメよ~」


あおるような口調。

初めて対峙したけど、これが不良!?

もしかして、ケンカ売られてるのでは…?


さらにおどおどする私を見て、
匡は背中の後ろにかばうように私を隠した。


「なにカッコつけてんだよ!!!」

「きゃっ!!」

突然殴りかかってきた相手に、
私は反射的に頭を覆う。


匡はぐっと力をいれ、身構えると
「うっせぇな。」
と呟き、相手の拳が届くより早く拳を繰り出した。

それは相手のお腹に入り、
「うぅ~」
と、苦しそうにうめく。

もちろん、相手からの拳はかわしていた。


「調子にのりやがって!」

もう一人が殴りかかってくると、
今度は匡から近づき、相手の軸足に足をかけ、
地面に組み倒した。

匡はすかさず拳を振り下ろす。

2,3発入れると、
「やめてくれ…悪かった…」
と、力なく降参した。


再び匡は容赦なく拳を振り上げると、
降参する相手の顔に最後の打撃を加えた。

男は気絶したようだった。


「きょ、う…」


「なんだよ」


こちらを見る匡の目はいつもとは違う。

野生の獣のように、鋭く光っている。


私はそれ以上なにも言えず、ごくりと唾を飲んだ。