「まぁ、いいわよ。合格。」

「へ?何が?」

麗香の家の車に乗せてもらうと、
麗香がそう言った。


「頭悪そうなヤツだけど。
谷くんなら都のそばにいてもいい。」

「なっ、なにその言い方!
別にそういう関係じゃないよ!?」

「ふふ…。
都は鈍感な上に思い込み激しいところがあるからね。
いろいろ大変よね。」

「??」

「私の家のこと聞いて、興味持たなかったじゃない。
お金の話を聞いてこないの、今まで都だけだった。」

「あ、そういえば…」

「口悪いけど、からかいがいもありそうだし、
マネージャー続けてあげるわ。」

「ほんと?ありがとう!」


麗香の手をとってブンブン振ると、
照れ臭そうに私の手を振り払った。

「いちいちそんな喜ばなくていいのよ。」

「えへへ…」


「にしても、谷くんのあの態度…」

「麗香への?」

「違う。都への、よ。」

「??
なんか変だった?」

「まさか、あんた気づいてないの!?」

「????」


さっきからなんの話だ?
私への匡の態度?

距離近かったことかな?

…でも一般的な距離感が私にはわからない。


「麗香は気にしすぎだよ~」

「いや、あれは明らかに……ハァ」

麗香は盛大なため息をつくと、
車のシートに深く腰を掛けた。

「まぁいいわ。
なんか困ったら私に言って。
あんな男、追っ払ってあげるから。」

「アハハ!大丈夫だよ。
それに、私も彼氏ができるまでやめられないしね。」


麗香はキレイな笑顔を浮かべると、
納得した様子で頷いた。