昼休み。
アツコとマスオは一緒の昼ご飯を食べている。
「昨日のお母さんたちちょっとはしゃいだように感じてたけど、マスオは?」
アツコはサンドイッチを一口かじってから話した。
「うん、僕も同感。それにとても幸せそうにも見えた」
「そうそう。あんなお母さん見たことないんだもん。今朝もとっても優しく起こしてくれだからびっくりしたよ」
「それほどなんだ」
「それほどだよ。それより昨日、私たちが離れてからおばさんは何か言わなかったの?」
「何かって何?」
「もちろん月たちだよ。長月という人の運命の人がマスオだからきっと会いに行くと思うけどね」
「あの夜以来まだ一度もあってないけど」
「だから、お母さんのお守りのお蔭だよ。それに黒魂ももう簡単には近づけないから絶対安心だね」
「確かに」
ここで一旦少し休んでからアツコが腹をくくったように、口を開けた。
「ねえ、聞いたいことがあるんだけど、長月のこと、どう思う?」
「どう思うってどういうこと?」
「だから、運命の人だから将来的には恋人になって結婚したりするでしょう」
「うん。まだそこまで考えてないけど。そもそも、一回しか会ってない人といきなり付き合うことなんてできないでしょう」
「そ、そうだよね」
ほっとしたアツコの表情は和らいだ。
「ご飯も全部食べたし、教室に帰ろうか?」
「帰ろう」
正直、マスオはあれから長月のことがずっと気になっていた。お守りがあるから近づけないことはわかるけど、遠くから自分の存在を知られてくれてもいいんじゃないかとさえ思えてきた。
マスオはどうすれば長月に会えるか方法を考えてみることにした。