一年も、片思いをしていた。告げられずに終われるわけもない。


「ずっと、俺の方を見てくれないかなって、思ってた」


お願い、俺に、ドキドキして。俺を、見て。

触れていた頬から移る熱が、俺への気持ちだと思いたい。そんなわけはない、バカな男だと、自分でも分かってる。

だけど……。


彼女の頬からゆっくりと手を離して、彼女の手を取る。


「仁科さん。俺と、付き合って欲しい」


もっと格好良く聞こえる言葉をいろいろ用意しようとしていた気がするけど、仁科さんを目の前にすると、そんなものは全て忘れてしまった。

まるで小学生レベルの告白だ。だけど、だからこそ、嘘なんかない、俺の本当の気持ちだ。


俺の言葉を聞いた仁科さんは、また瞳をゆらゆらと揺らして、小さく息を吐いた。そんな様子すら、俺には甘い砂糖菓子のように見える。


そして彼女は、優しい声で「はい」と、頬を赤らめながら答えてくれた。


すごくすごく嬉しくて、俺は自然と頬が緩んだ。