老紳士が夏ブレンドを飲み終えているのに気がついた。二杯目のオーダーを確認する。

「今のと同じものを。とても美味しかった」
「ありがとうございます」

 ブレンド用の豆を挽き、その香ばしい香りの粉をドリッパーにセットしながら考える。

 奥様は夕食のあとに機嫌が急に悪くなった。だとしたら原因はやはり夕食にあるはずだ。しかし夕食に提供されたお料理は問題なかった。

 あなたはわたしの気持ちがわかっていない、か。その奥様の言葉こそ最大の手がかり・・・なんだけど。