初めていらした時からしばらくはもっと景色が見やすい窓側の席にお座りになった。それが、このカフェの唯一のスタッフ兼オーナーであるわたしとお話しされるよにうになってから、こうしてカウンターで朝のひと時をお過ごしになる。

「お車の調子はいかがですか」
「ミッションとエンジンの調子がね。古い車だから梅雨の時期にぐずるのは毎度のことです。ああ、今日は海が遠くまで見える」

 そうですねと言い、店の横の駐車場に停められたブリティッシュグリーンのジャガーを見る。流れるような曲線の美しいボディ。車なのに何だか色っぽい。