夜まで降り続いた雨も、一晩明けて朝になったら、雲一つない抜けるような青空が広がっていた。

 予報によれば今日にも梅雨明けが宣言されるらしい。頬に触れる風はいつもの潮の匂いと昨日までは感じなかった熱気を含んでいる。いよいよ夏がやってくるんだ。

「よし!開けるよ」誰にともなく張り切った声をかけ、Closeと書かれたプレートを裏返しOpen に変える。ここは海を望む小高い丘にある小さなカフェ。名前は"Ciel-bleu "という。

 開店して間もなく、緑色のセダンが坂をゆっくり登ってくるのが見えたので、お湯を沸かし始める。