リリスは珍しく饒舌だった。勝手に話しているのではなく、グレイスの心を軽くするために話してくれているのだろう。グレイスは時折相槌を打ちながらそれを聞いた。
数十分も経っただろうか、リリスは「すみません、長話を」と立ち上がった。長くなったのでソファの隣に腰掛けてくれていたのだった。
「そろそろお休みになられますか?」
まだ昼間であるが、病み上がり、というか、治り切っていない状態である。グレイスは少しの疲れを覚えていたところもあり、「そうするわ」と答えた。
「大丈夫ですよ。なにもかも上手くいきますから」
グレイスをベッドに入れてくれて、リリスはグレイスの髪を優しく撫でて言ってくれた。そしてお辞儀をして部屋から出ていった。
一人になって、布団にくるまって、グレイスは息をつく。
リリスと話ができたことで、少し気持ちは軽くなった。少なくともダージルとあったことについては、だいぶ気持ちの整理がついた。
でも、もうひとつ。こちらのほうが、実は遥かに重大な、もうひとつ。
どうしたってひとには言えない。
そんな、……婚約者を袖にするようなことをして、密かな想い人の従者とくちづけをしてしまったなど。
思い出しただけで、顔が熱くなるやら、逆に青くなりそうやらなことである。
どうしたらいいのか。グレイスにはまったくわからなかった。
フレンが自分に応えてくれたのは嬉しい。
取り乱していたところとはいえ、抱きしめてくちづけてくれたことが嬉しい。
けれど、それからどうなるのかと考えると、心臓は冷えていってしまうのだった。
数十分も経っただろうか、リリスは「すみません、長話を」と立ち上がった。長くなったのでソファの隣に腰掛けてくれていたのだった。
「そろそろお休みになられますか?」
まだ昼間であるが、病み上がり、というか、治り切っていない状態である。グレイスは少しの疲れを覚えていたところもあり、「そうするわ」と答えた。
「大丈夫ですよ。なにもかも上手くいきますから」
グレイスをベッドに入れてくれて、リリスはグレイスの髪を優しく撫でて言ってくれた。そしてお辞儀をして部屋から出ていった。
一人になって、布団にくるまって、グレイスは息をつく。
リリスと話ができたことで、少し気持ちは軽くなった。少なくともダージルとあったことについては、だいぶ気持ちの整理がついた。
でも、もうひとつ。こちらのほうが、実は遥かに重大な、もうひとつ。
どうしたってひとには言えない。
そんな、……婚約者を袖にするようなことをして、密かな想い人の従者とくちづけをしてしまったなど。
思い出しただけで、顔が熱くなるやら、逆に青くなりそうやらなことである。
どうしたらいいのか。グレイスにはまったくわからなかった。
フレンが自分に応えてくれたのは嬉しい。
取り乱していたところとはいえ、抱きしめてくちづけてくれたことが嬉しい。
けれど、それからどうなるのかと考えると、心臓は冷えていってしまうのだった。