心底呆れた表情の裕一郎が「聞こえたのは『そんなわけなかったのに』という言葉です」と続けると、恋幸は慌てて両手で口に蓋をするが時既に遅すぎる。


「……それで? 一人でどんな余計なことを考えていたんです?」
「も……黙秘で……」
「帰りますよ」
「やだ!!」


 恋幸が正直に打ち明けるか、裕一郎がこのまま帰るか。
 二択を迫られた彼女は事の流れを全て話した。ハイネックとジャケットの組み合わせも大変よく似合っていて眩しすぎるのでサングラスを着用したいという(むね)も話した。

 当然、却下された。