にこにこと(おだ)やかな笑みを浮かべる星川について行き、言われるがまま彼女の車に乗り込んでから約15分後。
 辿り着いたのは、高層ビルの前に設置された駐車場だった。

 まさに漫画やドラマで見たそのままの建物は威風堂々(いふうどうどう)と天高く(そび)え立ち、綺麗に(みが)かれた窓ガラスが陽光を弾いて(きら)めく(さま)はとても()えている。

 入ってくる時にはよく見ていなかったが、立派な門の前には『なんとかエニックス』という社名のようなものが刻まれた看板があった気もした。
 門の前にいた警備員は、呼び止めるどころか星川の顔を見て笑顔で会釈(えしゃく)していたような気もする。