今度は裕一郎が目を見開く番だったが、丸められた空色の瞳はすぐに緩やかな()(えが)く。


「……ふ」
「えっ? 笑っ、」
「笑っていません」
「そ、そうですか?」


 おかしいなぁと言いたげな顔で恋幸が首を傾げるが、裕一郎はいつもの無味な表情で「そうですよ」と頷き彼女の頬を撫でた。

 そして、


「キスしてもいいですか?」


 挨拶でもするかのような気軽さで爆弾を投下する。