「また会えて嬉しいなぁ、って。思っただけです」
「!?」


 恋幸が満面の笑みを浮かべてそう返した瞬間、今まで全く変化を見せなかった彼の表情が初めて崩れる。
 目を丸くして驚く様はまさに「面食らった」という表現がぴったりだろう。

 しかしそれもほんの数秒の出来事で、恋幸が気づくよりも先に元の無表情へ戻ってしまった。


「……そうですか」
「はい! あっ、えっと……お仕事だったんですか?」
「ええ」