そうは言っても、新しいエアコン代と設置費用を考えれば決して安くはないだろう。
 しかしここで星川を責めたり詰め寄ることはお門違いであると理解していた恋幸は、モヤモヤとした感情を抱えたまま午後を迎え、ドラム式洗濯機の使い方を(おそ)わるのであった。





「エアコン代?」


 午後8時過ぎに帰宅した裕一郎と入れ違いになる形で星川は帰ってしまったが、彼女の作ってくれた夕飯を二人で完食して一緒に食器を片付け終えたタイミングで“例”の話を切り出す。

 裕一郎は床の間の座布団に腰を下ろし、顎に片手を当てて何か考えるような素振りを見せたが、真隣に座った恋幸の顔を真っ直ぐその瞳に映し、相変わらずの無表情で少し首を(かたむ)けた。