どうやら裕一郎はわざと“そう”しているらしく、口を離して(ひたい)同士をくっつけると「可愛いですね」と呟いてもう一度キスをする。


「ふ……っ、くらもと、さま」
「うん?」
「いったん息継ぎしてもいいですか」


 頓珍漢(とんちんかん)な問いに彼は3秒ほど動きを止めた後、息を吐くように笑って顔を離し恋幸を抱きしめた。


「すみません。貴女から求めてもらえたのが嬉しくて、調子に乗りました」
「と、とんでもないです……! ありがとうございました!」
「こちらこそ」


 彼女が大きく息を吸っている間、裕一郎はその背中をとんとんと優しく叩く。