先ほど『縁人(よりひと)』と呼ばれたその人物は、裕一郎の背後から現れると人の良さそうな笑みを浮かべながら「お疲れさまでーっす!」と言って彼の肩をポンポンと叩く。

 やや茶色がかったツーブロックヘアに、耳たぶで輝くピアス。
 一言で言い表すと『チャラそう』な男を見て恋幸は新手のカツアゲを疑い、裕一郎様は私が守る!! と言わんばかりに(いさ)ましくファイティングポーズをとった。


「……あれ?」


 そこでようやく縁人(という名前らしい男)は彼女の存在に気づき、恋幸を見つめたまま眉間に深いシワを刻み数秒間なにか考えるような素振りを見せたあと、ハッとした顔で勢いよく裕一郎の方を見る。