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――……夕飯は別で済ませている。出かけるので準備してほしい。
その2つのワードから恋幸は「夜景の見えるお店でディナーを頂くのかな!?」と飛躍した連想をして、自宅から持参した粘着カーペットクリーナー(コロコロ)で服についているかもしれない埃を取り、2人分の食費がちゃんと入っているか財布の中までしっかりチェックを済ませて床の間でスタンバイしていたのだが、
「お待たせしました。それでは行きましょうか」
戻って来た裕一郎は帰宅した時と同じスーツ姿のままそう言って、紺色のロングコートを羽織ると車の鍵を玄関先の棚に置いたまま表に出てしまう。