恥ずかしいやら幸せやら困惑するやら。
 突然デレ期の到来した裕一郎を前に、彼女の頭はどうにかなってしまいそうだった。


(つ、疲れてると甘々になるのかな……? うっ、心臓吐きそう……)
「……さて。そろそろ花に夕飯を食べさせないと()ねられそうですね」
「夕飯……あっ!? すみません、倉本様! 私、まだ夕飯の準備ができて、」


 恋幸が慌てて振り返った先にあったのは裕一郎の整った顔で、眼鏡レンズの奥にある瞳と目線が交わると同時に頭の中が「裕一郎様、かっこいい……大好き……」でいっぱいになる彼女を見て、彼は首を傾げながらその頭を一度撫でる。


「準備? はなから貴女にさせるつもりはありませんよ?」
「えっ、でも、」