そして手のひらサイズの箱の蓋を開けてみると、中に入っていたのはなんとも可愛らしい桜の髪飾り。


「可愛い……!! 嬉しいです、ありがとうございます! ずっとずっと大切に、……っ!?」


 恋幸が隣の彼へ顔を向けた拍子に軽く肩がぶつかり、彼女はそこでやっと裕一郎との距離が近いことに気がついた。

 対して、あまり気に留めていない様子の裕一郎は恋幸の手元にある箱から髪飾りを取り出すと、彼女のこめかみ辺りにクリップをそっと()し込む。


「喜んでいただけたようで何よりです」
「……っあ、倉本、さ、」