そう思う度に、俺を神だと崇める信者のコメントや弟の言葉を思い出していた。

『千明暁は天才』
『俺にとっての神様』

 そんな信者の言葉を見るたびに感じる不快な浮遊感。

『もう、俺、疲れたんだよ』
『もう、俺から何も、奪わないで。俺に何も、押し付けないで』

 弟の言葉を思い出すたびに頭を覆いつくす罪悪感。

 早く、楽になりたい。

 一度そう思ってしまうと、その思考から逃げられなかった。でも、それではいけない。何も果たせないままでは、ひよを巻き込んだ意味もない。

 アルコールを体に入れ、回らない頭で考える。そして、思った。そうだ、ひよが、ひよがいる。俺には、今、ひよがいる。
 ぐらぐらと揺れる不快感から、少しだけ解放された。俺は、いつの間にかひよに縋ろうとしていたのだと、気づく。俺を神だなんて思わない彼女。どれだけだらしない姿を見せても、甘えても、それを受け入れてくれる彼女。