「……私、ずっと思ってるんだけど」

 彼女の言葉を、黙り込んで待つ。背中を汗が伝うような不快さを感じる。スローモーションのようだった。

「彼は、孤独でいなくちゃいけないと思うの」

 彼女の瞳が、私を映した。

「彼の音楽は、彼が孤独だからこそ成り立ってるんだと思うんだ」

 彼女の視線は、私を捉えて離さない。

「だから、誰も彼の孤独を奪っちゃいけないの」

 全てが、彼女に見透かされている。そう感じた。彼女は私が彼と関わりがあることを知らないはずで、私がひよであるということも知らないはず。それなのに、彼女に責め立てられているように感じた。体が固まって動かない。