いつもより少し温度の低いココアを彼の元に持っていく。彼はそれを受け取り、恐る恐る口を付ける。そして、熱くない温度だと判断したらしく飲み始めた。
「インタビューに答えるの、もっと上手くなった方がいいよね」
彼にそう言うと、彼は「んー」と少し悩む素振りをしてマグカップを置く。
「まぁ、いずれ上手くなっていくんだろうけど」
「そういうものなのかな」
「そういうものでしょ」
そう言ってまた彼はココアを飲み始めたと思うと、またマグカップを置いた。
「それまではさ、俺に頼っとけばいいんじゃない」
「だって俺、頼れる先輩なんでしょ」と彼は面白そうに笑いながら言った。
「…咄嗟に思いつかなかったんだよ、良い答えが」
「先輩て」
また笑い始める。今の笑いは慰めとか気遣いではない。ましてや兄のような表情ではなく、からかうような表情。いつもの彼だ。
「ま、隣に俺がいるうちはフォローしてあげるよ」
そう笑って言って、彼はまたマグカップに口を付けた。確かにいつかは個人インタビューとかを受ける日が来たりするかもしれない。それまでには彼に笑われないようなそれなりの答えが出来るようにはしておくべきだ。
『ひよさんにとって、千明さんはどういった存在ですか』
その答えは彼の家に帰ってきても未だに分からない。ただ、"頼れる先輩"という答えは少し違うな、と思う。現に彼には笑われているし。恐らく、それでは不十分だ。それだけは分かっていた。
「インタビューに答えるの、もっと上手くなった方がいいよね」
彼にそう言うと、彼は「んー」と少し悩む素振りをしてマグカップを置く。
「まぁ、いずれ上手くなっていくんだろうけど」
「そういうものなのかな」
「そういうものでしょ」
そう言ってまた彼はココアを飲み始めたと思うと、またマグカップを置いた。
「それまではさ、俺に頼っとけばいいんじゃない」
「だって俺、頼れる先輩なんでしょ」と彼は面白そうに笑いながら言った。
「…咄嗟に思いつかなかったんだよ、良い答えが」
「先輩て」
また笑い始める。今の笑いは慰めとか気遣いではない。ましてや兄のような表情ではなく、からかうような表情。いつもの彼だ。
「ま、隣に俺がいるうちはフォローしてあげるよ」
そう笑って言って、彼はまたマグカップに口を付けた。確かにいつかは個人インタビューとかを受ける日が来たりするかもしれない。それまでには彼に笑われないようなそれなりの答えが出来るようにはしておくべきだ。
『ひよさんにとって、千明さんはどういった存在ですか』
その答えは彼の家に帰ってきても未だに分からない。ただ、"頼れる先輩"という答えは少し違うな、と思う。現に彼には笑われているし。恐らく、それでは不十分だ。それだけは分かっていた。