何者かにならなければ生きている意味などない。

 いつからかは定かではないけれど、何となくそんな思いが自分の中にあった。
 何者でもない自分に生きている意味はない。だから、今の自分に生きている意味はないのだ、と。
 でも、だからといって死のうと思ったことはなかった。生きている意味がなくても生きていくことはできる。わざわざ自ら能動的に動いてまで自分の生を否定する理由もない。

 ただ、それはまるで読み応えの無い物語を延々と読まされているような、そんな感覚だった。
 退屈で、つまらない。それでも読み進めていかなければならない。
 しかし、その物語に抗う気もなかった。

 だから思っていたのだ。この、誰も読みたがらない、タイトルの無い物語に、誰かが勝手にタイトルを付けてくれれば、なんて。