「いやー、よく来てくれた。カンナギ君、だったかな?」

 上機嫌出迎えてくれたのは対オーガ防衛ライン構築の指揮を執っていた第二部隊のコンラート隊長。

「ご用件というのはオーガ討伐の調書作成のための聞き取りかなにかでしょうか?」

 二時間ほど前にコンラート隊長と会話をした際に見せた、彼の悪そうな笑顔を思いだしながら、素知らぬ顔で訊いた。

「そこまで煩わせるつもりはない。調書の方は我々で作成したものがある。確認のために目を通してもらえれば十分だ」

 実際にオーガを討伐した俺から一言の話も聞いていないのに調書が出来上がっているのかよ。
 これがこの世界の騎士団の標準とは思いたくないな。

「それは助かります。では早速、調書を読ませて頂きます」
「いや、急ぐ必要はない。調書は後ほど持ってこさせる。その前に少し話をしたい」
「お話ですか?」
「第一部隊のパウルから無理難題を言われているらしいじゃないか?」

 本題がそちらだと言うことは予想できたが、何の前置きもなしにいきなり核心に触れた来たな。

「無理難題というほどこのことではありません。私が討伐した盗賊のアジトに案内するよう言われているだけです」
「アジトに残してきた盗品の引き渡しを要求されているのだろ?」

 俺は少し困ったような表情を浮かべて恐縮する。

「私の国では討伐した盗賊が所持いていた盗品は討伐した者に所有権が移ります。てっきりこちらの国でもそうだと思い込んでいました。ご迷惑をお掛けし申し訳ございませんでした」

 パウル騎士団長に騙されている世間知らずの青年を演じる。