「分かりました、すぐに代官の屋敷まで人を走らせます」

 そう言って代金を持ってきた女性を見ると、

「畏まりました」

 彼女はそう言って即座に退室した。

「無理をお願いして申し訳ございません。このご恩は近いうちに返させて頂きます」

 俺はギルド長と握手を交わし、魔術師ギルドを後にした。

 ◇

 続いて、第二部隊のコンラート隊長に会うために騎士団第二部隊の詰所を訪れた。
 さて、第一部隊と第二部隊、この二つの癌をどうやって排除するかな。
 先ずは敵情視察と行こうか。
 出迎えたのは十二、三歳ほどの少年騎士。

「ご丁寧にありがとうございます」

 案内の少年騎士に笑顔を向けると、

「コンラート隊長から『アンデッド・オーガとオーガ八体を単独で撃破した英雄に失礼のないように』、と言われています」

 そう言ってキラキラとして瞳で見返された。

 純粋な英雄への憧れなのか? 
 崇拝するような目で俺を見ないでくれ。

 チクリと胸が痛む。
 第一部隊と第二部隊には配置転換してもらう予定なんだ。
 本当、ごめん。
 俺は心の中で少年騎士に詫びながら隊長室へと向かった。