俺は二人の反応をスルーして話を続けることにした。

「司教が到着するまで三日以上必要だ。司教に関する情報は逐次集めるとして、悪代官と騎士団を何とかしよう」
「助祭はどうするつもり? 司教の到着を待ってまとめて対処する?」

 司教と助祭は特に悪事を働いているという情報はない。
 むしろ、助祭は奇跡の力で積極的に治療を行い多くの人を助けている。結果、教会からも住民からも好意的に受け入れられていた。
 評判通りの為人なら穏便に神聖石を回収したい。

「司教と助祭の情報が不足している。ユリアーナとロッテは孤児院のルートから教会に接触して助祭の情報を集めてくれ」
「司教の情報は?」
「無理に集めようとして怪しまれても困る。助祭に集中しよう」

 俺の提案にユリアーナがわずかな時間思案する。

「そう、ね……。すべてを解決した状態で、司教の到着を待つ方がいいかもしれないわね」
「よし、決まりだ」

 俺とユリアーナのやり取りを聞いていたロッテが不思議そうに聞く。

「どうして司教様と助祭様の情報を?」
「悪代官にしろ騎士団にしろ、新しく赴任してきた連中が諸悪の根源だろ? 新しく赴任してくる司教と助祭がそうでないとは言いきれないからな。特に孤児院は教会とのつながりもあるから念のために調べておくだけだ」
「孤児院のことをそこまで気にしてくださったんですね。ありがとうございます」

 感激したロッテが瞳を潤ませた。
 胸が痛い。小さな嘘かもしれないが、目の前の少女を騙していると思うと良心がとがめる。

 そこへユリアーナが割って入った。