「まさか、盗賊団を捕らえたのもお前なのか?」
「はい、そうです」
「なるほどな。報告では盗賊が油断していたためだとなっていたが……、どうやら盗賊を捕らえるだけの力は持っているということか」

 隊長はそう言うと、爆発で形が崩れ炎で焼け焦げた地面とオーガの死体を一しきり見回し、俺の肩を叩きながら上機嫌で続ける。

「私はこの街に駐留する騎士団の第二部隊隊長を務めるコンラートだ。何か困ったことがあったら言ってきなさい」

 何だ、いきなり?

「はあ、その時はよろしくお願いいたします」
「第一部隊隊長のパウルあたりが無理難題を言って来たら私のところへきなさい」
「無理難題、ですか?」
「そう、たとえば、だ。盗賊からの押収品を差しだすように言われたら、後日差しだすことを約束だけして、私に相談してもらえれば君の力になれると思うぞ」

 悪人顔のコンラート隊長がとても悪そうな笑みを浮かべた。
 騎士団内部の権力争いの臭いがする。
 この悪人顔の隊長さん、ライバルをはめるのに俺を利用するつもりだな。

「分かりました。後ほどお話をお伺いに上がります」
「よろしい。それでは二時間後に詰所に来なさい」
「承知いたしました」

 口元の笑みを隠そうともしない悪人顔の隊長と固く握手を交わした。